「システム開発」と「システム構築」の違い

 見積屋記事の第一稿として見積屋らしくシステム依頼の発注者向けにIT業界のシステム化における工程について説明します。発注者はシステム化における工程や役割を意識し、どの範囲を依頼したいのかを意識しておく必要があります。例えば「システム開発」と「システム構築」で作業工程の範囲が異なります。

 システム構築は「要件定義」、「設計」、「製造」、「結合試験」、「受入試験」の5つの工程に分割されている。

 要件定義は「どのようなシステムを構築したい」かを明確に定義する工程となります。作りたいシステムにはどんな機能が存在するのか、機能以外にもどのくらいの負荷に耐えられるか等となります。

 設計は要件定義で定義した「どのようなシステムを構築したいか」に対して具体的に「このようなシステムを構築する」と決定するものです。その名の通りシステム構築の設計書となるものです。一般的には外部仕様を決める「基本設計(外部設計)」工程と内部仕様を決める「詳細設計(内部設計)」に分かれています。基本設計で作成する基本設計書は発注したユーザーがシステム仕様を把握するものであり、詳細設計で作成する詳細設計書は製造担当者がどのように作るか把握するものとなります。

 結合試験は開発したモジュールや各サブシステムが結合して完成された状態で動作確認を行う工程となります。結合試験も内部結合試験と外部結合試験で2段階に分かれています。内部結合試験はシステム構築を実施した範囲内を対象として結合試験を実施するものとなります。外部結合試験はシステム連携が必要な他システムも含めた形で結合試験を実施するものとなります。

 受入試験はシステム構築の発注/依頼者が構築されたシステムが意図した通りに動くことを確認する工程となります。UAT(ユーザー受入テスト)や総合試験、検収試験等、様々な呼び方があります。システム開発ベンダーへ依頼した場合はこの受入試験で問題ないことを確認して開発費用を支払う形となります。

 ここまではシステム構築における機能系作業の話がほとんどであり非機能系作業についてはその限りではありません。非機能系作業とはインフラ基盤の構築や運用監視設計、セキュリティ診断などの作業です。非機能系と機能系を時系列で合わせると下記のような形となります。

 システム関連の依頼をITベンダーに依頼するときは横軸の任せる工程の範囲だけでなく縦軸の役割の範囲も気にする必要があります。非機能系作業の工程についての詳細な説明は今回は割愛します。

 一般的に「システム開発」はソフトウェアの開発のみ、「システム構築」はインフラ基盤も含めたシステムをまるっと作るものです。先ほどの図を基にして示すと下記の図のようになります。

 範囲が広がれば当然金額も高くなります。発注者がシステム化にあたって予算計画するときはどこまでの範囲の発注が必要かを意識してシステム開発ベンダーへ見積依頼をしましょう。

 次回はIT業界の構造について触れ今回説明した役割を担う企業が業界的にどういったポジションなのかを説明します。

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