システム開発の相場と価格変動要素

 今回はシステム開発の相場について説明します。先に結論を出してしまうと2023年のシステム開発の相場は下記のようになっています。

 見ての通り最小価格と最大価格で桁が4桁くらい違います。システム開発の相場というのは明確に呼べるものはなく市場価格の幅が大きいです。価格決定に影響する要素が複数ありそれらの要素の違いによって価格が大きく変動します。簡単なところの例でいうとホームページ制作と一言で言っても「ページの枚数」や「ブログ等のコンテンツを自由に投稿できる機能がある」等で価格が変動します。

 価格の変動となる要素を表で表すと下記となります。

 開発機能の規模に影響するものやセキュリティ等、非機能要素、依頼する企業等、様々な変動要素によって市場価格が決まります。この変動要素の中で変動量が大きいものだけ4つを説明致します。

機能の数
 機能数が増えれば当然開発工数が増えます。スマホアプリや業務システムなら画面数が増えればその数に比例していくらでも増えていきます。例えば見積屋の事例に挙げているスーパーの集客アプリであれば「クーポン」、「チラシ」に加えて「買い物履歴」や「商品レビュー」の機能を付ければ価格は当然あがります。システム開発の際には目的を明確にして、目的を達成するために効果的な機能に絞って開発を依頼するようにすることが大切となります。

●機能の特殊性
 「標準でない機能」を搭載したシステムを構築すると費用が大きく上がるケースがあります。例えば人事システムや会計システム等はどの企業でも同じ機能が必要となります。その場合は共通で扱えるパッケージ製品のソフトウェアを導入することで開発費用を大きく削減できることができます。会社の人事制度や業務が特殊でパッケージ製品を大きくカスタマイズする、もしくは導入できずにイチから作る場合は価格が高くなります。システム開発費用を大きく削減したい場合はパッケージ製品合わせて業務や事業を見直すことも必要です。

●依頼対象
 システム化費用に関してソフトウェア開発だけを依頼する場合は実はそこまで高くなりません。例えば5億規模のシステム化を大手SIerに依頼するとその内のソフトウェア開発費用は1億に満たないこともあります。半分はインフラ基盤(システムを動かす基盤)構築の費用であることも多いです。システム構築を丸っとSIerに投げず、インフラ基盤だけは別のベンダーにお願いする等すれば費用を削減できます。ただし、1億未満のシステム化でベンダーを分けると各ベンダーのコミュニケーションのオーバーヘッドによって逆に費用が高くなるため注意が必要です。

●企業規模
 IT業界では企業規模が大きいだけ1人当たりの人件費に4倍近く差がでます。業界最大手では1人当たり月250万円で価格が算出されますが小さいところだと1人当たり月60万円ほどです。1人1人の生産力は同じであるため単純に価格が跳ね上がるだけです。企業規模が小さい会社はシステム開発に失敗した場合に倒産覚悟で踏み倒しすることもあるためリスクがあります。失敗できない大きいプロジェクトは高くても大手にお願いしましょう。

これらを踏まえたうえで変動要素の部分を定義したうえでの市場価格を示します。

 価格変動要素の多い4つの要素が定義できていれば価格は最小コストの3倍くらいまでには絞れることができます。一般的な企業の業務システムは比較的安く構築することができます。また、これらのシステムは構築して自社で保有する選択肢を捨ててクラウドサービスを利用することをお勧めします。そうすると初期費用を1桁くらい安く抑えることができます。逆に消費者向けのシステムで、そのシステム自体が事業に直結するようなものは比較的構築費用が高いです。ECサイトやゲームアプリなんかは、その仕組みでシステム投資費用を回収していくので高くても効果的なものを開発することが大事です。

 この市場価格は2023年時点のものでありそれ以降はまだ変動していくことが考えられます。現在ITエンジニア不足によりシステム構築の費用が年々上昇傾向にあります。特に大手のSIerはオフショア開発(物価の安い国への再委託)が多いのですが円安の影響を大きく受け価格が高くなる傾向があります。

 システム開発、構築の市場価格を知りたい方、具体的な見積が欲しい方は見積屋へご相談ください。

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